卵子の老化は防げません!だから対策が大切なんです。その方法をしっかりと説明します!

不妊治療において卵子の老化は大きな障害になります。卵子の老化はどうして起こるのか、原因をしっかりと認識しないと対策はできません。ここでは卵子の老化について説明するとともに、徹底的に老化対策について教えます。


妊娠を望む女性にとって重くのしかかってくる問題が、卵子の老化です。卵子が老化すると、妊娠率が低下するだけではなく、流産のリスクが高くなります。

実際に私も不妊治療中に、胎児側に問題がある稽留(けいりゅう)流産を経験しており、それ以降卵子の老化対策に力を入れるようになりました。

特に30代後半からの不妊治療や原因不明の不妊症では、卵子の老化問題は重要課題となります。そこで今回は体験談も含めながら、卵子の老化について、その対策法やチェック方法についてお伝えします。

卵子の老化とは

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妊娠を成立させるためには、人間の遺伝子を半分ずつ持っている精子と卵子が受精して、受精卵として成長し、子宮にしっかりと着床することが大切です。

この時、精子と卵子の両方、もしくはどちらか片方の遺伝子の情報に問題があると、受精卵は成長できなくなり、妊娠が成立しなかったり、流産という結果になります。

遺伝子には細胞の設計図が書かれているため、設計図に不備があると正常な細胞を作れないのです。

この遺伝子に問題を発生させる原因の一つが、「卵子の老化」です。

卵子は加齢とともに老化するという特徴を持っており、老化が進んだ卵子では遺伝子に変異などの問題が生じやすくなるのです。

そのため、不妊治療においては、卵子の老化への対策が非常に重要となってきます。

しかし、残念なことに現在の技術では卵子の老化を防ぐことはできません。ですが、老化のスピードを抑えることは可能です。

卵子の老化に対抗するためには、まずは卵子についてしっかりとした知識を身につけることが大切です。

卵子はいつ、どれくらい作られるのか

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卵子はなんと母親のお腹の中にいる時にすでに作られています。

妊娠初期の胎児の卵巣では、卵子の元となる卵母細胞をたくさん作り出す「卵祖細胞」が、せっせと700万個もの卵母細胞を生み出します。

しかし、妊娠4ヶ月頃になると卵祖細胞は消えてしまいます。

つまり、この時点で一生分の卵子が作られて、卵子を新しく作り出すことができなくなるのです。

作り出された卵母細胞は、ホルモンを分泌する細胞たちと卵子を育てるための卵胞にくるまれ、第一減数分裂前期と呼ばれる段階まで成長した後、目覚めの時がくるまで眠りにつきます。

ここで重要なのが、作られた700万個もの卵子のほとんどは排卵の日を迎えることなく消えてしまうという事実です。

卵子は作られたそばから次々と消失していきます。

700万個の卵子は、出産される時には100万~200万個にまで減少し、10~12才の頃にはなんと30万個にまで数を減らしています。

さらに、それ以降も毎日30個もの卵子が消えていきます。

そして、残りの数が1000個程度になった時に、閉経を迎えます。

女性が一生の間に排卵する卵子が400~500個という事実を加味すると、妊娠にまで辿り着ける卵子は本当に一握りしかないのです。

卵子の老化は生まれた時から始まっている

卵子は胎児の時に作られ、休眠状態に入ります。そして、何らかのきっかけで目覚めて半年かけて排卵されます。

つまり、排卵される卵子は排卵されるまでの年月を経た卵子ということです。

卵子の老化は生まれた時から始まり、現在保有している卵子は年齢と同じだけ老化が進んでいるのです。

しかも、毎月排卵される卵子は保存状態がいいとは限りません。その時に最も大きく成長した卵子が排卵という幸運を獲得できます。

卵子の保存状態をよくして卵子全体の老化を遅らせることは、不妊治療を成功させる上でとても大切なのです。

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卵子の老化は30代後半から加速する

卵子の老化は閉経まで一定のスピードで進むわけではありません。

ある年代を境に老化のスピードは一気に加速します。

その年代こそが、30代後半です。

これはデータからも見てとることができます。

女性の結婚した年齢別の子どもを授からない確率は以下の表のようになることが報告されています。

結婚した年齢 子どもを授からない確率(%)
20-24歳 5.7
25-29歳 9.3
30-34歳 15.5
35-39歳 29.6
40-44歳 64.5

※Menen et Science,1986から

30代後半から40代にかけて一気に不妊率が高くなっていることが分かります。

さらに、体外受精1回あたりの出産率と流産率を調べた研究では、35才から出産率の低下が著しくなり、一方で流産率は35才以降で急速に上昇していきます。

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日本産科婦人科学会 ARTデータ集より

これらのデータは卵子の老化と直接結び付くものではありませんが、不妊治療において「老化」がいかに重要な課題であるかは理解できます。

卵子が老化する4つの原因

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では、卵子の老化は何が原因で加速してしまうのでしょうか。

卵子の老化の主な原因としては、以下の4つが挙げられます。

  • 血行不良
  • 過度なダイエット
  • 活性酸素
  • ミトコンドリアの機能低下

卵子の保存状態をよくするためには、卵巣の機能をしっかり保つことが大切です。

そして、卵巣の機能を維持するためには卵巣にしっかりと栄養と酸素が行き渡らなければなりません。

また、卵子が正常に細胞分裂を行うためにも、栄養と酸素は必要です。

栄養と酸素を運ぶのは、血液です。

つまり、血行不良やダイエットによる栄養失調状態が続くと、卵巣機能が低下して卵子の保存状態が悪くなったり、卵子が正常に細胞分裂が行えなくなり遺伝子の変異が起こりやすくなったりするのです。

さらに、卵子に大きなダメージを与えるのが、活性酸素の増加とミトコンドリアの機能低下です。

こちらは、卵子の老化対策に非常に重要となるため、以下に詳しく解説していきます。

活性酸素はなぜ卵子を老化させるのか

活性酸素は通常は、体内に侵入した外敵から身を守るために作り出される物質です。

しかし、活性酸素の生成が増加すると、ウイルスなどの外敵だけではなく、自分の細胞まで攻撃するようになるのです。

活性酸素は対象の物質を酸化させます。

鉄などの金属を外に置いておくと錆び付いて、脆くなってしまいます。このことを酸化と呼びますが、実は活性酸素は体内の細胞や物質を酸化させて劣化する作用があるのです。

卵子や卵巣が劣化するのはもちろんのこと、血管が劣化すれば血行不良を起こします。

さらに活性酸素の魔の手は卵子の中の遺伝子にまで及び、遺伝子を断片化させたり変異させて正常に分裂できなくさせます。

つまり、活性酸素はあらゆる角度から卵子の老化を加速させるのです。

ミトコンドリアと卵子の関係

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卵子の老化対策には、ミトコンドリアも忘れてはいけません。

卵子が細胞分裂をして成長するためには、大量のエネルギーが必要になります。

そして、卵子のエネルギーの約95%を作り出しているのが、ミトコンドリアなのです。

ミトコンドリアの機能が低下してしまうと、エネルギーを供給できなくなり、卵子は正常に成長できなくなります。

卵子の老化を遅らせるためには、ミトコンドリアの機能を向上させることが重要なのです。

活性酸素とミトコンドリアの関係

ミトコンドリアはエネルギーを作り出す時に、副産物として活性酸素を生成します。

働けば働くほどミトコンドリアは、自身が作り出した活性酸素によって劣化していきます。

そして、劣化したミトコンドリアはさらに多くの活性酸素を発生させると考えられています。

つまり、卵子の老化に対抗するためには、ミトコンドリアが劣化しないように活性酸素を取り除き、劣化したミトコンドリアの機能を回復させることが大切なのです。

活性酸素を増加させる原因

ミトコンドリアの機能を維持するためにも、活性酸素の増加を抑えることが大切です。

活性酸素を増加させる原因は、以下のように生活の中にたくさん潜んでいます。

激しい運動

運動は適度であれば健康によい働きをしますが、激しい運動をするとそれだけたくさんのエネルギーが必要になり、酸素の吸入量も増加します。

すると、体内ではたくさんの活性酸素が作られるようになるのです。

喫煙

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喫煙は体内に大量の有害物質を取り込む行為です。

体内に有害物質が入り込むと、身を守るために大量の活性酸素が生成されるようになります。

大量の飲酒

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アルコールを分解する過程でも活性酸素は発生します。

大量に飲酒することで、体内では副産物としてたくさんの活性酸素が作り出されるのです。

食品添加物の摂取

人工的に作られた食品添加物は、体にとっては異物となります。

異物を認識した細胞は活性酸素を増やして、排除しようと働きます。

紫外線

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紫外線も人体にとっては有毒となります。紫外線をたくさん浴びることで、身を守るための活性酸素が大量に発生するのです。

睡眠不足

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眠っている時には脳の松果体と呼ばれる部位から「メラトニン」と呼ばれるホルモンが分泌されます。

メラトニンは活性酸素を取り除く抗酸化作用を有しています。

睡眠不足でメラトニンの分泌が低下すると、活性酸素の除去能力が低下してしまいます。

対策・改善法

卵子の老化対策で大切なのは、「血行の改善」「栄養状態の改善」「活性酸素の除去」「ミトコンドリアの機能向上」の4点です。

私は生活習慣を改善することで、卵子の老化を加速させる原因を除去しつつ、卵子の老化対策として効果の高い栄養素やサプリメントを積極的に取り入れて不妊治療に取り組んでいます。

生活習慣の改善だけでは、活性酸素やミトコンドリア対策は十分ではありません。

また、サプリメントだけに頼って生活習慣が乱れていては、全く意味をなしません。

大切なのは、生活習慣の改善をベースにしつつ、賢くサプリメントや栄養素を取り入れていくことです。
以下にそれぞれのポイントについて解説いたします。

食事のポイント

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食事でのポイントは次の2点です。

  • バランスよく食べること
  • 朝食を食べること

食事の改善といえば、野菜ばかりの生活を思い浮かべる方も多いですが、野菜ばかりの偏食も卵子にはよくないのです。

卵子の質を維持するためには、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することが大切です。

特にコンビニ食やファストフードが多い方は、ビタミンやミネラルが不足しがちですので、注意しましょう。

主菜、副菜、汁物、ご飯が揃った和食をベースに献立を考えるとよいでしょう。

また、朝食を食べることも不妊治療には大切です。

私も以前は朝食を抜いていたのですが、朝食を抜くと体温が上がらず冷えに悩まされていました。

体温を上げて血行をよくするためには、1日の中で最も体温が低い朝に食事をすることが大切です。

実際に、私も朝食を食べ始めてから35度台だった平熱が36度台にまで改善しました。

運動のポイント

卵子の老化を遅らせるためには、適度な運動も大切です。

20分程度のウォーキングは、骨盤内の血流を改善してくれます。

骨盤内の血流が改善することで、卵子にとってよい環境を整えられます。

また、適度な運動はストレス解消効果もあるため、ストレスによる活性酸素の発生抑制にも効果が期待できます。

卵子の老化に効果が期待できる栄養素

卵子の老化に効果が期待できる栄養素には、以下のような成分が挙げられます。

  • 亜鉛
  • ビタミンA
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • ビタミンD

亜鉛は性機能を正常に維持する

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亜鉛は、遺伝子の合成や細胞分裂を正常に行うために必要となる栄養素です。また、「セックスミネラル」とも呼ばれており、性機能を正常に維持するためには欠かせません。

亜鉛は牡蠣や豚レバーなどに豊富に含まれています。

ビタミンA、C、Eは抗酸化の役割

ビタミンA、C、Eはビタミンエースとも呼ばれ、高い抗酸化作用を持つビタミンです。

特にビタミンEは抗酸化作用だけではなく、血行改善効果もあるため、卵子の老化対策におすすめです。

私も、ビタミンEが豊富に含まれているアーモンドを摂取したり、サプリメントなどを用いてビタミンEが不足しないように注意しています。

ビタミンDは細胞分裂にも重要な働き

最後のビタミンDは近年不妊治療への有効性が期待されている注目の栄養素です。キノコや鮭などに豊富に含まれる他、日光にあたることで体内で生成することができます。

そのため過剰な紫外線対策は、ビタミンDの不足に繋がってしまうので注意が必要です。

ビタミンDは骨密度を上昇させる効果が有名ですが、遺伝子の働きを調整したり細胞の分裂や分化にも重要な役割を果たしていることが解明されてきています。

卵子の老化に効果が期待できるサプリメント

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栄養素の中には、食事だけではなくサプリメントを利用した方がよい物も存在します。

卵子の老化対策として取り入れたいサプリメントとしては、以下のような成分が挙げられます。

  • 葉酸
  • コエンザイムQ10
  • L-カルニチン
  • α-リポ酸

葉酸は食べ物からも摂取できますが、食べ物で摂取するよりもサプリメントから摂取した方が吸収率が高いことが分かっています。

ですので、私も葉酸はサプリメントから摂取しています。

コエンザイムQ10、L-カルニチン、α-リポ酸は不妊治療用のサプリメントによく配合されている成分となります。

これらの成分はミトコンドリアに存在し、ミトコンドリアの働きを向上させる作用を有しています。

卵子の老化を遅らせるためには、ミトコンドリアの機能が非常に重要となるため、ミトコンドリアの活性化に着目したサプリメントミトコプラスを毎日欠かさず摂取しています。

老化のセルフチェック方法

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卵子の老化は生活習慣や卵巣の状態に大きく左右されます。

そのため、いつもの生活習慣や自分の状態をチェックすることで、おおまかに卵子の老化が進んでいるのかどうかを知ることができます。

チェック項目は、以下の15個です。

  • タバコを吸っている
  • 週2回以上お酒を飲む
  • ストレスを感じることが多い
  • 週3回以上外食をする
  • ファストフードやスナック菓子が好きでよく食べる
  • 白髪が増えてきた
  • 睡眠時間が6時間以下になることが多い
  • BMI(体重kg÷身長m÷身長m)が18以下の痩せ型もしくは25以上の肥満型
  • 一年を通して冷え症
  • 年齢が35才以上
  • 偏食で野菜をあまり食べない
  • 生理の血の量が少なくなってきた
  • 肌がよく荒れる
  • コレステロールや中性脂肪の値が正常値よりも高いまたは低い
  • 髪の毛がきしみやすく、ボリュームもなくなってきた

上記の項目に当てはまるものが多ければ多いほど、卵巣の機能が低下し、卵子が老化している可能性が高くなります。

1項目でも当てはまる方は、当てはまった項目の改善に努めましょう。

病院では不妊治療に使える卵子の数がわかる

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病院の検査において、卵子の老化や質自体を判断できる方法は今のところありません。

卵子の状態を知るための検査としては、AMHという検査があります。

AMHは卵子の質ではなく、治療に使える卵子の数を検査するための方法です。

ですので、AMHの値が悪くても質のよい卵子が残っていれば自然妊娠することも可能です。

一方でAMHの値が良くても質のよい卵子が少なければ妊娠も難しくなります。

AMHは卵子の老化を知る方法ではありませんが、不妊治療を進めるためには必要な検査です。

AMHの値次第で、早く体外受精にステップアップした方がよいのか、もう少し様子を見ても大丈夫なのか計画を立てることができます。

そこでこちらでも、AMHの方法などについて簡単に解説いたします。

AMHとは

AMHとは、アンチミュラーリアンホルモンというホルモンのことを指します。AMHは、発育途中の卵胞から分泌されています。

そのため、AMHの量を調べることで、卵巣内にどれくらいの量の卵子が残っているかを知ることができます。

実はAMHの値は個人差がとても大きく、若くてもAMHが低く残っている卵子が少ない人もいます。

ですので、年齢が若いからといってAMHも正常範囲であると油断してはいけません。

AMHを測定せずに悠長に構えていると、子どもをほしいと思った時にはもう卵子がほとんど残っていないという事態に陥ることもあるのです。

将来妊娠を考えている方は、早めにAMH検査をして治療のための計画を立てておくことをおすすめします。

AMHの検査方法

AMHの検査方法は、血液検査となります。

不妊治療のクリニックでは治療方針を立てるために、一番始めの血液検査でAMHを測定する所もあります。
私が最初に通ったクリニックでも、始めの血液検査にAMH検査も組み込まれていました。

検査費用は、4000~8000円程度です。

AMH検査で分かること

AMHの値が低ければ、不妊治療のステップアップも早めに切り替える必要があります。

体外受精では採取できる卵子の数と妊娠率が相関関係にあります。

そのため、体外受精を成功させるためには、卵子の残り数が多い段階で行う方が有利となります。

つまり、AMH検査をすることで、体外受精に早くステップアップすべきかどうかを知ることができるのです。

一方でAMHが高すぎるのも、問題になります。

AMHが4.0~5.0ng/ml以上の場合、小さな卵胞が卵巣内にたくさん生じて卵胞が育たなくなる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性があります。

この場合、排卵誘発剤を使用する時に注意が必要となるため、AMHを知ることは適切な治療方針の作成にも有効なのです。

卵子の凍結

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卵子の老化は遅らせることはできても、止めることはできません。

いくら対策を行っていたとしても、40代以降になれば急激に卵子は老化していき、妊娠率はかなり厳しいものとなります。

そこで、注目されているのが「卵子の凍結」です。

体外受精の技術を応用して、卵子を若いうちに保存しておこうという方法です。

しかし、卵子の凍結はメリットもデメリットも存在します。

それでは最後に、最新の卵子の老化対策である卵子の凍結について、方法や費用、効果、注意点についてお伝えします。

卵子凍結の方法

卵子の凍結はただ採卵して、卵子を凍結するだけではありません。

卵子の凍結は、「初期検査」「排卵誘発」「採卵」「凍結」「保存」の5つのステップで進められます。

まず、卵子を凍結したい場合、採血や内診、超音波検査などを行って採卵できる状態かどうかを調べます。
ここで結果がよければ、卵子の凍結を行うことができます。

卵子を凍結する際、1個だけを保存すればよいという訳ではありません。

卵巣の中で成熟している卵子であっても、その卵子の質がよいかどうかは実際に受精するまで分かりません。

そのため、若い方でも10個以上の卵子を保存しておくことが望ましいと考えられています。

一度の採卵で多くの卵子を救済するためには、排卵誘発剤の使用が有効となります。

排卵誘発剤でできるだけ多くの卵子を育てて、採卵した後、ガラス化法という方法を用いてマイナス196度の液体窒素で急速凍結して、専用の保存容器で保存します。

卵子凍結の費用

卵子凍結には凍結を行うだけでも30万~100万円程度の費用がかかります。

さらにそこから卵子1個につき、1年単位で保管費用が2~5万円程度必要となります。

これだけでも相当な費用がかかりますが、それだけには留まりません。

実際に凍結した卵子で妊娠したい場合、顕微受精をして胚移植を行わなければなりません。

諸費用を含めると100万円単位でお金が消えていきます。

卵子凍結ができる人

現在、卵子の凍結によって超高齢出産が増加することに警鐘がならされています。

卵子の質がよくホルモン剤を使用すれば妊娠することは可能です。

しかし、子宮やその他の臓器、血管などは加齢によって確実に老化しています。

超高齢出産では母体へのリスクが高くなってしまうのです。

そこで、日本産科婦人科学会の倫理委員会では

未受精卵子等の採取時の年齢は、40歳以上は推奨できない。また凍結保存した未受精卵子等の使用時の年齢は、45歳以上は推奨できない

と2013年に出したガイドラインで示しています。

そのため、実施クリニックにおいてもこのガイドラインを踏襲し、採卵は40才以下、卵子の保存は45才までと制限をかけていることが多いです。

卵子凍結の効果

卵子の凍結は、費用さえあれば未婚の女性の不安をおおいに減らしてくれます。

また、がん患者においては、治療で妊娠力が低下する前に卵子を救済することができます。

この点においては、卵子の老化対策の有効な手段として考えられるでしょう。

しかし、実際に未婚で卵子を凍結し、その後凍結卵子を使用した例は稀です。

それは、パートナーが見つからないという現実があるためです。

さらに卵子の凍結は「出産を後回しにしても大丈夫」という考えを助長するとも考えられます。

卵子凍結の問題点

卵子の凍結では、高齢出産を助長する以外にも問題点があります。

凍結融解した卵子を用いた治療実績は、移植あたりの妊娠率が19.3%、妊娠あたりの流産率が23.8%となっており、決して高くはありません。

それは、凍結した卵子の質が必ずしもよいとは限らないためです。

また、排卵誘発剤を使用した場合、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になるリスクがあります。

卵巣過剰刺激症候群では、排卵誘発剤によって卵巣が腫れ、お腹などに水が溜まって膨満感や吐き気、嘔吐、頭痛などの症状が表れます。

さらに悪化すると腎不全や血栓症などを合併して死亡する例も報告されています。

卵子凍結を行う場合は、これらのデメリットについてしっかり理解してから取り組むことが大切です。

まとめ

不妊の大きな要因となる卵子の老化です。

最近では、40歳くらいまで普通に妊娠できると思っている人は少なくなったようですが、妊娠のしやすさだけでなく、健康などを考えると早いうちに妊娠することが理想です。

不妊治療を行うか迷っている人は、その時間にも卵子の老化が進んでしまいます。まずは、医師に相談してみてはどうでしょうか。

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